-金融機関取引に強い-  税理士ブログ

コベナンツの活用術

2013年9月14日

  金融用語でコベナンツ(Covenants:英語)という言葉があります。
  コベナンツとは、契約条項や約款という意味を持ちますが、金融用語としては融資や社債の財務制限事項の意味で用いられることが多く、借り手の財務指標が一定の基準を満たさなくなった場合に貸し手から契約解除による返済を求められたり、金利上昇のペナルティを課されたりするものです。
  一般には銀行団による協調融資や社債など大口の取引で用いられ、貸し手にとってメリットのあるものですが、借り手にとってもコベナンツがあることで担保提供を省略できる場合もあるなど、デメリットばかりとは限りません。
  このようにコベナンツは本来外部との約束事ですが、借り手においてコベナンツの財務指標だけを切り出してうまく経営に採り入れれば、自社の財務規律を保つのに役立つのではと考えます。
  コベナンツで設けられる項目としては、純資産額維持、自己資本比率維持、利益維持、負債額維持、負債比率維持、インタレスト・カバレッジ・レシオの維持、債務償還年数の維持などです。これらのうち、会社の経営計画などで指標となっていないものを採り入れることにより自社の財務体質をより強固にする可能性が生まれます。
  経営計画が利益(やキャッシュフロー)計画に偏っている場合は是非検討してみてはいかがでしょうか。

プーシキン美術館展に行きました

2013年8月27日

  横浜美術館で開かれている『プーシキン美術館展 フランス絵画300年』に行きました。
  17世紀から20世紀までの各年代の名手たちの作品が時代順に展示されていて、フランス絵画史をたどれます。
  横浜美術館のコレクション展には、フランス象徴主義の巨匠ギュスターヴ・モローの作品も展示されていて、こちらもフランス絵画つながりとしてお見逃し無く。

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運転資金の借入と返済原資

2013年8月24日

  運転資金の中でも、狭義の運転資金と呼ばれるものは、売上債権に棚卸資産を加えたものから、仕入債務を差し引いたものです。
  では、この狭義の運転資金を借入によって調達している場合の返済原資は何に求めれば良いのでしょうか。次のようなパターンが想定されます。

①利益
  ・税引後の利益として社内に残った資金。
②売上の減少
  ・回収条件や支払条件、または売上に対する棚卸資産の比率が一定ならば、売上の減少により運転資金も減少します。
③回収条件の短縮
  ・早期の売上回収により得た資金。
  ・これは得意先にとっては支払条件の短縮になり運転資金の増加要因です。
④棚卸資産の圧縮
  ・棚卸資産として留まる期間が短くなるため運転資金は減少します。
⑤支払条件の延長
  ・支払いを先に延ばすことによって得た資金。
  ・借入金を仕入債務で肩代わりするとも言えます。
  ・仕入先にとっては回収条件の延長になり運転資金の増加要因です。
⑥増資
  ・増資によって払い込まれた資金。

  実際にはこれらの組み合わせにより返済原資が生み出されます。これらのうち、②~⑥は常にあるものではないので、①の利益に返済原資を求めることになります。ただし、①の利益には変動があり、投資や配当にも向かうので安定した返済原資とは言えません。
  このために用意されている借入の方法が、分割返済がなく、期日に書き換えを予定した手形貸付等の借入で、その特徴から「ころがし」とか「ベタ」と呼ばれます。
  運転資金の借入としては、この「ころがし」や「ベタ」が理想ですが、現実の借入は分割返済付のため定期的な借り換えが必要となっているケースが多いでしょう。
  ここに、定期的な借り換えを確実にしたい企業側と、定期的な借り換えを約束したくない金融機関側との立場のズレが起きることがよくあります。このズレへの対処には金融機関との日頃のコミュニケーションが欠かせません。

 

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