ジョー・プライスさんのこと
2017年3月31日
今月のジョー・プライス氏による日本経済新聞の「私の履歴書」が本日で最終回を迎えました。
米国人のプライス氏は、若い頃来日した日本で江戸時代の絵師伊藤若冲の一幅の掛け軸に出会いました。これをきっかけとしたその後の若冲コレクションを通じて、埋もれていた絵師の存在を多くのひとに気付かせたストーリーは、氏の絵画に対する限りない愛情を感じるものでした。
平成18年に上野の東京国立博物館で開催された「若冲と江戸絵画」展の会場において間近でお見かけしたプライス夫妻、また、まったく別の機会にお見かけした夫妻の何とも言えず親しみを感じさせる雰囲気は、やはりプライスさんと呼びたくなります。
マティスとルオー展
2017年3月16日
汐留のパナソニック汐留ミュージアムで開かれている「マティスとルオー展」を見てきました。
汐留ミュージアムが所有するルオーコレクションにのほかに、フランスや日本各地の美術館、そして個人蔵の貴重なマティスとルオーの作品が集められています。
パリの国立美術学校(エコール・デ・ボザール)のギュスターヴ・モロー教室で共に学んで以来、生涯の友人としての交流を示す手紙の展示もあり、二人の画家の深い友情を感じることができました。
これまでルオーの作品に心が動くことはありませんでしたが、今回の展覧会で少し変わったような気がします。
ティツィアーノとヴェネツィア派展
2017年2月28日
上野の東京都美術館で開かれている、「ティツィアーノとヴェネツィア派展」に行きました。
昨年から今年にかけては、日伊国交樹立150周年記念ということで、ボッテイチェリ展やカラヴァッジョ展などが相次いで開かれ、日本におけるイタリア美術鑑賞の当たり年となっています。
今回の「ティツィアーノとヴェネツィア派展」はヴェネツィア派をテーマにした展覧会で、昨年の夏に開かれた「アカデミア美術館蔵 ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち展」とのつながりを強く感じます。
ポスターにもなっているティツィアーノの「フローラ」のほかに「ダナエ」や「教皇パウルス3世の肖像」など、ティツィアーノの画集にはもれなく載るような名画を見ることができます。
また、ヴェネツィア派のジョヴァンニ・ベッリー二やヴェロネーゼ、ティントレットなどの作品も見逃せません。
デトロイト美術館展
2017年1月21日
上野の森美術館で開催されていたデトロイト美術館展を見てきました。
デトロイトといえば自動車産業の都市として知られ、デトロイト美術館はその自動車産業からの豊富な資金援助を受けて全米屈指の美術館になったようです。最近では、2013年に破産法の適用を申請したことで話題になりました。その際、美術館は、財政破綻による所蔵品の売却圧力から作品を1点も失うことなく守り抜いたそうです。
今回の展覧会では、そのコレクションのなかから印象派以降の選りすぐりの作品が来日しました。
モネの「グラジオラス」などは、印象派らしい陽光と色彩を感じさせる作品ですが、蝶が舞っているところはうっかりすると見のがしてしまいます。
クラーナハ展 500年後の誘惑
2017年1月15日
上野の国立西洋美術館で開催されているクラーナハ展を見てきました。
日本では初となるドイツルネサンスを代表する画家、ルカス・クラーナハ(ルーカス・クラナッハ)の回顧展です。前から関心があった展覧会でしたが、クラーナハの選りすぐりの作品がこれほど集まることは想像していませんでした。
展覧会のポスターにもなっているウィーン美術史美術館蔵の「ホロフェルネスの首を持つユディト」は、おもわず見入ってしまう何かを感じます。修復が終わったばかりという点も幸運でした。
クラーナハに触発されたパブロ・ピカソや森村泰昌氏の作品が見られるのも興味深い企画です。